Cから始まった時間

還暦を迎え、これまでのこと、これからのことを毎日書き残したいと思います。

私にとってはかけがいのない2022年度の手帳

「手帳買った?」

今年もLINEがきた。


10年前
職場に新卒の女の子が入ってきた。
上司たちから暗黙の指導係を仰せつかった。
暗黙である…なんかおかしい。


驚くほどかわいい
「じゃけん」が連発の広島っ子であった。
そのギャップが面白いなとおもっていたら
中身も面白かった。
かの有名なTOTOさんのショールームに一緒に行く機会があった時
五右衛門風呂を指して
「じいちゃんと一緒に入ってたんよ」と
広瀬すず張りの笑顔で嬉しそうにさけんだ。
その時のことを思い出したのだろう。
打ち合わせの時に開いた手帳が同じだったので
「これ使いやすいよね」と言ったのはあの時。


それから職場では共に泣き共に笑いの3年間を過ごし
他の部署に異動になったが、相変わらず
一緒にランニング教室に行ったり
マラソン合宿に行ったりした。


研修中に急な腹痛を起こし倒れこんだ時
車いすに乗せて走って病院に駆け込んだ
「一人暮らしだから夜に何かあったら救急車を呼びなさい」と
看護師さんに言われているのを聞いて
『とんでもない。私が自宅に連れて帰ります』と
連れ帰ったこともある。


精神が限界になって、会社を退職した。
何も助けてやることができなかった。


昨年秋から公務員として働いている。
結婚もした。
役所の窓口で高齢者の相談に乗っているのを
タメの息子たちが冷やかしに行ったりした。
家族みんなに好かれる子なのだ。


この3月はじまりの無印の手帳が店頭に並ぶ頃
「手帳買った?」とLINEがはいる。
さすがに公務員として働きだしたのだから
今年は連絡がないと思っていたので
本当は100均で使いやすそうなのを購入していた。


「一緒に買っといてよ」


どんなときもこの手帳が手元にあれば
頑張れる。
それはきっと彼女にとっても
どっかで小さな支えになっているのだと
そんなことを思いながら大切に使いたい。