Cから始まった時間

還暦を迎え、これまでのこと、これからのことを毎日書き残したいと思います。

母の蘭が今年はたくさん花をつけた

実家の裏庭に捨て去られていた蘭の鉢を
二年ほど前に姉とひとつずつ持ち帰った。


一時母は玄関先で
どなたからか頂いた蘭を株分けしては
その数を増やしていった。


そしていつからか世話をしなくなった。
理由なんて聞かなかったけど
というか、理由を慮れるほど
私自身に余裕がない生活をしていたのかもしれない。


あの時、いろいろなことに興味をなくしかけていた母に
もっと何かできたのかもしれないと思うこともある。
たまに立ち寄っても、わずかな時間で立ち去り
お茶さえもいっしょに飲む時間を持たなかった自分を
後悔したこともある。


蘭が見事に咲いたのを
たまに訪ねていく私に自慢げに話して聞かせる母の姿を
今も思い出すことができる。
そしてその一鉢が咲かせた花を
母がいなくなってもこうして、あの母の自慢げな笑顔とともに
思い出す時を持てている。


そんなゆるやかにつながっていくことを
母は望んでいたのではないかと、そんなことを思った。


花が落ちたら、感謝の思いで来年に向けて世話をさせてもらおう。