母の蘭が今年はたくさん花をつけた
実家の裏庭に捨て去られていた蘭の鉢を
二年ほど前に姉とひとつずつ持ち帰った。
一時母は玄関先で
どなたからか頂いた蘭を株分けしては
その数を増やしていった。
そしていつからか世話をしなくなった。
理由なんて聞かなかったけど
というか、理由を慮れるほど
私自身に余裕がない生活をしていたのかもしれない。
あの時、いろいろなことに興味をなくしかけていた母に
もっと何かできたのかもしれないと思うこともある。
たまに立ち寄っても、わずかな時間で立ち去り
お茶さえもいっしょに飲む時間を持たなかった自分を
後悔したこともある。
蘭が見事に咲いたのを
たまに訪ねていく私に自慢げに話して聞かせる母の姿を
今も思い出すことができる。
そしてその一鉢が咲かせた花を
母がいなくなってもこうして、あの母の自慢げな笑顔とともに
思い出す時を持てている。
そんなゆるやかにつながっていくことを
母は望んでいたのではないかと、そんなことを思った。
花が落ちたら、感謝の思いで来年に向けて世話をさせてもらおう。
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