Cから始まった時間

還暦を迎え、これまでのこと、これからのことを毎日書き残したいと思います。

母の思い出につながるその2 ピースご飯

ふつうは豆ごはんという気がするが
母は「ピースご飯」と言っていた。


季節もの、さっそく産直でみつけて供えてみた。

母は生家の家業を継ぎ店主をしていたためか
本当によく人から頂きものをしていた。
春になるとそれはそれは大量のさやを外したピース豆が
私たち姉妹のところにおすそ分けされた。


すでに冷凍されたその豆を
ごはんとともに炊く。
子どもたちは何度もお代わりをして喜ぶ。
春の恒例の風景となっていた。


晩年、急に母が
「ピースはね、一緒に炊かずに、別に湯がいておいて
 米を蒸らす前にぱっと入れると色がきれいに仕上がるって」
と言い出した。
テレビで見たのか、人に聞いたのか…


「そうなの」とうなずいてみたが
本当はとっくに知っていて、もちろんお弁当に入れる時などはそうしていた。
でも、なんとなく一緒に炊いたほうが
米に移る香りや優しい甘さが引き立つような気がするのだ。


母がいなくなった今、やっぱり一緒に炊く。
母のピースご飯に会いたいからだ。


この日、母が遺言のように言った炊き方で
別湯でして合わせた。
孫が「きれいねぇ」といって、お代わりして食べた。
それを彼の父親が、
やはりあの頃のようにお代わりして、黙々と食べていた。
この光景を母に見せたいと思った。