この季節が一番好きだなと父が言った
父は数えの64歳で亡くなった。
とにかく無口な人だった。
休みの日は盆栽いじりばかりしているか
囲碁の有段者だったので囲碁番組か
スポーツをテレビ観戦
なので接点がまるでなかった。
そんな父とある休みの日に出かけた。
いろいろなシチュエーションは覚えていない。
何の用事だったのか…
どうして二人だったのか…など
季節は初夏だった。
運転をしながら
「この季節が一番いい。山の緑がそれぞれ違うだろ
あの何とも言えない色の違いが映えるこの季節がいい」
父がそう言った。
あまりに父らしくない言葉だったので
鮮明に覚えている。
父らしくないとは違うかもしれない。
なにしろ父のことをそれほど知らない。
どんどん表現がおかしくなってきた^^;
語弊がないように言えば
仲の悪い家族ではなかった
普通の一般的な家族だったと思う。
今の家族像とは違うかもしれないが
威厳のある父がいて、家庭を守る母がいて
のような昭和の家庭とでもいうのか。
これは私が変な人間だからかもしれないが
父親に興味がなかったのかもしれない。
用があればもちろん話すが
少し踏み込んだ話をしたことがなかったから
この新緑の話は、それこそ新鮮だった。
いつもこの季節になると、
父とのあの時間に戻れる。
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