Cから始まった時間

還暦を迎え、これまでのこと、これからのことを毎日書き残したいと思います。

現在高

幸田文さんの「老いの身じたく」

「ものの一杯に詰った袋には、
 それ以上新しくはいれられない。
 が、空っぽになった袋へは、
 新しく選んだものをいれることができる。
 思えば
 ”失うもまたよし”
 ”失ったあとには新鮮が来る”です。
 老いて失ったものをなげくことはない。
 新陳代謝だと思えばいい。」


「老いの自覚があったら、
 ともあれ、
 体力能力気力、
 その他一切の持物の、
 現在高を確認すること、
 その上で何なりと選ぶ道を決めることです。」


現在高…わかっているようで実は目を背けている気がする。
できないとまではいかなくても
スピードが落ちてきたとか
ぼんやりしてきたとか
そんな変化に気が付くことが増えてきた。


できなくなったことを嘆くより
あるものを失わないようにしていく
とは高齢者の接遇の学びの中でよく耳にするが
現在高を知るとはなんと前向きな言葉かと思う。


まだこれだけ残高があるんだと思うことは
すでに前向きな気持ちの表れではないか。


良い作品にはよい言葉がたくさん隠れている
見落とさないようにしていきたい。